コラム
シリーズ“豆知識 感染症”
感染症1 新型インフルエンザ
感染症1 新型インフルエンザ
新型インフルエンザとは・・・
今年4月にアメリカとメキシコでブタ由来インフルエンザウイルスによる人への感染が発生し、瞬く間に全世界に波及した。WHOはこれを新型のインフルエンザとし、5月11日にはパンデミックを示すフェーズ6を宣言した。毎年冬場に流行するインフルエンザは季節性インフルエンザといわれるが、新型インフルエンザは、これまで人が経験したことのない型のインフルエンザウイルスによっておこるもので、感染は世界的規模に拡大する。新型ウイルスはA/H1 pdm (パンデミックを示す)といわれ、トリ、ヒトおよびブタ(2種)の4種の遺伝子が入ったウイルスで季節性インフルエンザウイルス(H1N1)に比べて、病原性が強いのではないかと考えられている。症状については次回紹介する。
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感染症1 新型インフルエンザ(続)
感染症1 新型インフルエンザ(続)
新型インフルエンザの症状は・・・
症状は、突然の高熱、咳、咽頭痛、倦怠感および鼻汁・鼻閉、頭痛等で季節性インフルエンザと類似しているが、季節性インフルエンザに比べて、下痢などの消化器症状が多い(厚生労働省:新型インフルエンザに関するQ&A)。症状が軽ければ自宅での療養になるが、喘息、糖尿病などの持病がある人、幼児、妊婦、高齢者が罹ると重症になりやすい。症状が出た時にかかりつけの医師と相談できるようにしておくとよい。
死亡率は米国とカナダの調査では0.5%と、季節性インフルエンザの0.1%に比べて高い。わが国には全国約5000か所の定点医療機関からインフルエンザ様症状を呈した患者数を報告するシステムがあるが,10月18日までの定点報告数から患者数を約317万人と推定している(国立感染症研究所感染症情報センター(http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/index.htm)。一方、死亡者数は10月29日迄で37名であり(死亡率は推定患者数比で0.001%)、米国やカナダに比べて極端に低い。
死亡者数の少ない理由は、「国民皆保険による医療アクセスの良さと、アクセス先であるクリニックや病院の医療従事者の献身的な努力のたまもの」(森兼啓太:医療に対する提言・レポート from MRIC)なのかもしれない。しかし、入院患者の80%は14歳以下の小児との報告もあり,小児の感染については注意しなければならない。ちなみにわが国における季節性インフルエンザの死亡率は0.05-0.1%であり、死亡者は高齢者に多い。
感染症2 新型インフルエンザワクチン
感染症2 新型インフルエンザワクチン

今年4月までは高病原性鳥インフルが新型になることを想定したワクチンの製造体制であったが、新型豚インフル(AH1pdm)発生に伴い変更された。国内で製造される新型インフルワクチン量は2700万人分で、不足を補うための緊急輸入を考えている(約5000万人分)。 国内で流通させるワクチンは治療試験を行い副反応に関するデータを得て厚生労働省が承認するが(承認ワクチン)、今回の輸入ワクチンはデータが不十分のまま承認されそうなことから(特例承認)、輸入反対意見もある。海外ワクチンメーカーは副作用被害が出た際の免責を契約条件にしていることから賠償額を国が支払うための特別法案を臨時国会に提出する予定である。
接種対象者としてインフルエンザ患者の診療に当たる医療従事者はすでに終了し、今後、(1)妊婦、(2)基礎疾患のある方、(3)幼児(1歳から就学前)、(4)小学校1-3年生、(5)1歳未満児等の保護者、(6)小学校4-6年生、(7)中学生、高校生、高齢者(65歳以上)に順次接種するとされているが、小児に重症例が多いことから小児の前倒しが考慮されている。詳しくは自治体の担当窓口や最寄りの保健所に問い合わせるとよい。輸入ワクチンの接種は高校生及び高齢者が対象とされているようだ。
接種回数は健康者成人(妊婦を含む)、高齢者、基礎疾患を有する者も1回、中高生は当面2回接種だが今後の試験結果を待って1回を検討(厚生労働省11月11日)。費用は1回目3,600円、2回目2,550円であるが、低所得者や子供などに対し、独自に助成を決めている自治体もあるので、住んでいる自治体に問い合わせるように。季節性インフルワクチンと新型インフルワクチンの同時接種は問題ない。
感染症2 新型インフルエンザワクチン(続)
感染症2 新型インフルエンザワクチン(続)

新型インフルワクチンは季節性インフルワクチンと同様に、感染を完全に防ぐものではなく、重症化を防ぐことが期待されている。季節性インフルワクチンは毎年2000-2400万本が使用されているが(接種者数にすると約2倍),患者数はワクチン接種量に比例して減少しているという傾向はみられない。しかし,高齢者での超過死亡(インフルエンザ流行期に死亡者が増加する)は減少するといわれている。
小児のインフルエンザでは脳症が問題となるが、ワクチンは脳症の発生を防ぐ直接の効果はないものの、感染を軽くするということから間接な効果があると考えられている。脳症は季節性インフルでは9月から翌年8月まで40~50名程度の報告であるのに対し,新型ではすでに132名報告されている(11月22日現在)。新型インフルでも脳症とワクチン接種との関連について調査が望まれる。
ワクチン接種の副反応(副作用)として最も多いのは接種部の発赤、腫脹で,大部分は3日以内にみられる。重篤な例は筋肉の麻痺などを起こすギランバレー症候群で、100万人に1人といわれている。また、死亡例は平成15年より医薬品医療機器等安全情報に報告されているようになってから,毎年2~4名が報告されている。一方,新型インフルワクチンではギランバレー症候群の報告はないが,死亡者は11月26日までにワクチン接種者594万人に対して26名報告されている。死亡者は高齢者で多くワクチン接種との関連は不明であるが,季節性インフルワクチンに比べてかなり多いことから充分な検証が望まれる。




